私には命がある!心の変化‐ 出発期
夏が終わり、朝晩に秋の風を感じる季節のころ、第一回調停をまだかまだか、と緊張して待っていた。
早く終わらせて、広島に帰りたい。
毎晩どこかの神へ祈り、本当に祈り、外を歩けば広島を歩いていると妄想し、広島の賃貸マンションサイトを毎晩見ては、不動産屋とやり取りし・・・イメージをどんどん膨らませて、そこへむかって心をワクワクさせていた。
その時の私の心のよりどころは、力強い味方の弁護士先生、T人事部長の言葉、二人の愛しい娘たち、そして、今年も快進撃を続ける
広島カープだった。
夫が嫌がらせで生活費を送ってこなかったが、私は娘たちが習いたいと言っていた近所の短期のスイミングスクールに申し込んだ。
それでも、予定していなかった学校の諸費やもろもろ、出ていくものも多く、本音では焦っていた。
子供たちとの合言葉は、『節約』
こんな目にあわされて、悔しくて悔しくて、夫とは意地でも別れない!婚姻費用を貰い続け、何年でも別居生活をしてやるのが、あいつが一番嫌なことだろう、と考えていた。離婚なんてしたら、思うツボだと。
でも、もう、一日でも早く縁を切りたいと思い始めた。
離婚カウンセラーの岡野あつこさんによると
第4段階 出発期
未練や後悔は完全に消えたわけではないが、過去を振り返ってばかりの日々から脱却。元気を取り戻し未来に目を向けることができるようになる。具体的な新しい人生について前向きに考えられるようになり、リセットすることで今よりももっと明るい幸せな未来が待っているはずといった希望さえ持てるようになる。
私は確実にこの期に入ってきた。
私の今後の人生への妄想は、具体的で、希望に満ちていた。
小学校はO小学校、広島では珍しく、私服だな、みいなのバレエとダンスはここに通おう、あいこの将棋はここ、バツイチのグループに入ろう、みいなが今年楽しんでいる消防少年団はないから、ガールスカウトに入ろう、等…そして、5年以内には、中古マンションをこの辺りに買おう…想像は具体的で楽しい。
もう悔しさで泣くことは無くなったが、あるきっかけで知った歌に心奪われた。
前から好きだった椎名林檎
奪われるもの、壊されるもの、買えるものは形あるもの。私たちが価値があると思いこんでいるもの、そう思い込まされているもの。それらに価値はない。くだらないもの。形あるものに価値はない。奪われても壊されても嘆く必要はない。くれてやれ。マンションの窓から外へ全部放り投げてしまえ。命がすべて。生きていること、それで十分。
私は夫にすべてを奪われて、こうして東京に連れてこられて、身ぐるみはがされた状態で娘たちと放り出された。
だから悔しい、許せない、ここにさえ来なければ、来なければ…
でも、この曲を聴いてハッとした。そう、
私には命がある。まだ生きている。
私から何もかも奪った夫、不倫をし、私をモラハラで陥れ、生活費も入れずいやがらせをし、「子供に会いたい」という。
醜男だし、早漏だし、嘘つきだし、外面だけよくて情がないし。
出て行ってくれてよかった。
どこかの女にくれてやる。
熨斗を付けて、くれてやる。
その代わり、かわいそうなみいなとあいこの将来のために、私は戦うよ。
最強のダブル弁護士コンビと、10年後を見据えて戦うよ。
違う意味で、私はこの曲を聞くたび涙した。
同時にいろんな偶然を思い出し、見えないどこかの神に感謝した。
- 父の遺産相続の金額を夫に伝えようとした夜、どうしても伝える気になれなかったこと、
- 夫の様子が変で、時効が迫る3年前の不倫女Yに慰謝料請求したこと。結果、大きな証拠を得た。
- 人生最悪の日、偶然にも早く家に帰り、夫の逃亡と鉢合わせしたこと。 『よく見なさい、これがあなたが夫としていた人の本性だよ、』と。
私に第六感はない。
この偶然を認めることで、私は自分に起きた出来事を意味のあるものとして受け入れ始めた。こんな思いしたくない、ただ、夫婦仲良くしたかった、それだけ、家族を守りたかった、私にも欠点はあったけれど、私は尽くした。それで十分。
だから、このドラマのようなon goingのつらい出来事を乗り越えたら、きっと幸せがまっているはず。
これが、私の今の楽しい妄想につながっている。
絶対に実現させる。